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ぐるぐるぐるり
すでに一週間前のこととなってしまいましたが、
東京石神井knulpAAでの個展が終了いたしました。

あちらこちらで展示会の行われるシーズン。
行楽にも絶好の季節。

そんな中時間を割き、お越しくださいました皆様、
ありがとうございました。

長石釉を主体に、黄、緑両灰釉でのぞみました今回。
先日の大阪個展同様、器を伝えることの困難を感じながらも、
一年前の個展を思えば、着実に積み上げられていることも実感できました。

そして今回、小林真夕さんと挑戦した“或る状況の展示”。
こちらには、本当に多くのご好評をいただき、
また僕ら制作側にとっても、大変意義深いものとなりました。

今日はその『崩れる事が罪悪と、誰が云っただろう』について、少しお話しさせてください。



ご覧いただいた方にはお分かりいただけるかと思いますが、
有形と無形、あるいは生と死。
それらの間を結ぶものに目を注ぎ、巡り経巡る円環を描いてみせることに
ひとまずのところ成功したと思っています。


場をしつらえてくれた小林さんは「いけばな」を軸に活動をされている女性。
大学時代からの友人です。

今回店主の町田さんから、普段バックヤードとなっているスペースを使っても、との提案をいただき
まずは独り、考えました。

数カ月後には解体が決まっているというknulpの入るビルのことから
自身に降り掛かる日々諸々の出来事。
そして、震災を契機にこの一年半で社会に、身辺に起こった様々なこと。
ひっくるめて、今、この時代。

背後にあるとてつもなく大きな潮に、逃げず対峙して
思うことたくさん。
僕のもの作りの根にある自然観、思想に照らしながら
拙く紡いだアイディアを、小林さんに持ちかけたのは6月のことだったか。

学生の頃からの付き合いといえど、深く話し込んだ記憶はなかったわけですが
数回の、打ち合わせともいえない体の対話の中で、
共感を重ねることができ、おぼろげな方向性を見出し
偶然をも天意と、臆せず互いに覚悟を決めて挑んだ展示でした。

正直、ここまで上手く場が立ち上がるとは
僕も小林さん本人も思っていませんでした。

思い描いてきたこと、それ以上に状況の力がひとりでに生起して
観手の心に迫ったようです。
会場を出た後に、興奮を隠さず語ってくださった方も少なくありませんでした。



生か死か、美か醜かといった閉じた対位関係でなく
継ぎ目無い円環、もっと言えば螺旋の中にすべては配置されていて
それゆえ僕ら生命は有ることが許されているし、世界は豊かであり続けられるといういこと。

ごく当たり前の理ではあれど、どうにも忘れがちなこの摂理を
再認識する機会になったかと思います。


また、視覚を限定されることによって
聴覚、嗅覚、触覚が呼び覚まされる。
そういった体験もできる場でした。

すべてを白日の下に曝す、見せ過ぎることが
人の感覚を鈍化させ、思考を閉じさせてしまっている、という現状を焙ることに
期せずして成功していました。



もっともっと多くの方に観ていただきたかった
というのが実のところ。
ちょっぴり後悔です。

とはいえこの形式の発表も
継続すべき、せねばと考えています。
今後ともあらゆる手法を用いて、大きなものに対する小さな小さな声を
力の限り発し続けたいと思っています。



こうして、二項対位に基づいた“言語”を使って表現することに
そもそもの矛盾と限界を感じつつも、
展示会セルフレビューでした。



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撮影:川内太郎
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by aji-kyuu | 2012-10-22 23:31 | 考える | Comments(0)
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