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ユノネホウボウ無事終了しました。
気付けばすでに一週間近く経ってしまいました。
あれこれ思い致す間に、時は容赦なく過ぎますね。



先日、今年前半の安達健の時間と労力を大きく割いたイベント「ユノネホウボウ2014」が無事閉幕しました。
お越しくださいました皆様、実行委員始め関わってくださいました各所、担当の皆様、
心より御礼申し上げます。

今年で4回目。
立ち上げより代表として主導してきたイベントが2014年度も大きく成長を遂げ、想像を超える動員数という成果を上げることができました。
重ね重ねありがとうございます。


ひとまずはほっと胸を撫で下ろしているところではありますが
こうして成長すれば成長しただけ、相応の課題、新たな問題が見えてくるものです。

そもそもが平凡ないち作家である僕一人で負えるところの代物ではなく、
実行委員会やサポートスタッフとして深く関わってくださる方々が
より良い作家業とその周辺環境の醸成を願い、
力を持ち寄り、様々な困難からなんとか這い上がって、良かれと思うところに落とし込んできました。
思い起こせば相応の労苦があったわけですが、
その試みは人づてに伝わり、確かな手応えとして毎年毎年実感してきたところです。
そんななか今年、会場を街の中心部に移す決断をしました。

理由はいくつかあるのですが、
その一つとして、「僕ら」から「みんな」への意識の伸展があったことが挙げられます。
「僕」が「僕とあなた」になり、いつしか「僕ら」へと調い
自然な流れとして「みんな」に行き着く。

イベントとは字面通り“出来事”そのものであって、それを出来事足らしめるためには
時間と空間=場、そしてそれらを共有する人や物、多要素が深く噛み合う必要があって
そのうち何かを取り上げれば、必然ほかも頭が揃ってくる。

また一方で「僕」ないし「私」はたとえ代表という立場であっても
その“出来事”の前ではちっぽけで、一要素に組み込まれるものです。

間違いなく、ユノネホウボウは僕が旗を揚げた催しなのだけれど
ひとたびその場、うつわを用意すれば
その内外には瞬く間に“事”が出来上がっていく。
それは自然発生的に、また勢いよく、ことによると思い掛けない事も立ち上がる。

まずもってこの数年の展開を思えば、本当に興味深い。
面白いなあと思う。


ともあれ今一番に自分へ言い聞かせたいのは、この「みんな」へと到る流れをけして見誤ってはいけないということ。
たった一人二人の声が、みんなへと広がってきたことそれ自体は、素晴らしいことだと思うし
心から嬉しい。
ただ、ただ、その大合唱の中に「僕ら」の声、「僕とあなた」の声、「僕」の声を聞き逃してはならない。
その声をきちんと言語化して、こぼさないように掬いとっておかなければならない
そう考えています。

「みんな」が中心のない、だから外殻もない得体知れない「みんな」であっては
せっかく持ち寄られている個々の想いや願いが形結ばず霧散する。
そういう残念な例を見た覚えは、誰しもにあるはずです。


「ユノネホウボウ2014」は事実思う以上の大盛況とともに幕を閉じました。
だからそれゆえに、危機感は片手にしっかり引き摺らねば、そう思っています。

これから次の開催へ向け、僕らはまず「僕ら」の声に聞き耳をたてるでしょう。
誰とも知れない「みんな」ではなく、「僕」であり「あなた」の声に。
自分ですら勝手にボリュームを絞ってしまいつつあるその声。
そこから、きっと妥当な未来が導けるのじゃないだろうかと、少なくとも僕は思っています。


これはもう、ユノネに限ったことではないですよね。
「みんな」ってとっても素晴らしい単位。
素敵なスケール。

でもそれはあくまで個の集合。

個を出発点にする。
これ、まさに作家の哲学ですから。



今後とも陰に日向に、応援のほどどうぞよろしくお願いいたします。
by aji-kyuu | 2014-06-13 22:28 | 考える | Comments(0)
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