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最後を末永く
すでに始まってしまいましたが、遅ればせながらの大切な展示会のご案内です。


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ギャラリーくれい last exhibition
永く使えるカップ展

2015年11月14日(土) − 12月7日(月)
11時 − 17時

ギャラリーくれい(愛知県瀬戸市)

【出展】
安達健 阿部未来 一久堂 栂尾しづく (以上運営メンバー)
阿部恵里 上松香織 大澤奈津子 岡山富男 伊藤千穂 大森健司 加藤輝雄
河内啓 熊本充子 クロノユキコ 小林由依 柴田礼美 白石陽一 白木千華
城田渚 新道工房 鈴木ツギオ 鈴木はづ 高橋奈美 田村文宏 豊島Pさとこ 野口淳 野田里美
野村晃子 野村絵梨花 野村佳代 長谷川由香 一星(ガラス) 深谷仁美(ガラス)
堀江まや 前田薫(ガラス) 道川省三 望月万里 安江洋 羊歌窯 横田和憲 渡邊亜紗子
お菓子作家 dolcemente(a)



このブログでも幾度も展示会のご案内をしてきたかと思いますが、
僕安達が作家仲間と運営してきたギャラリーを、本年末を持って閉店することにいたしました。

皆で悩みに悩んだ末の決断。
その最後に相応しい、大きく、濃い内容の展示会を企画。本日より開催しています。

これまで30年余に及ぶギャラリーの運営に携わってきた方々。
これまで数々の企画にご協力してきてくださった方々。
全国あちこちの作家へお声掛けをして、総勢42組の展示が実現しました。


以下は、僕の中で大きな意味を成した場であった、ここでの最後の展示会に際して
会場でも掲示させていただいているテキストを引用させていただきます。

いつもながら長文ではありますが、お店へお越しいただく前にお読みいただけると幸いです。



ギャラリーくれいは僕にとってどんなところだったのか。

そもそもくれいの成り立ちが一般的なお店と大きく異なるのは確かなことです。
作家たちが自ら共同で立ち上げ、運営してきたギャラリーショップ。
例えば、所在するその土地に根差したお店だったり、
あるいはオーナーの一定の思想信条、価値観に裏打ちされたお店だったり、
たいていの場合、お店というところはそのいずれかに立脚するものです。
売り手と買い手の真ん中に建てられるものが「お店」とするなら、当然その間を取り持つ理解が必要で、
それにはおよそ2パターンあるのです。
ただし当のくれいは、そのいずれにも該当しないように思っています。

くれいはもちろん、瀬戸というやきものの町に在り、そこでやきものを売っています。
また、作家というある種独特の考え方で生きる人々によって長く運営されています。
その意味では2つともの要素を十分に含んではいるでしょう。
けれどくれいの本質は、それらを軸にしていません。

言うなればくれいは、人と人との関係に深々と拠っています。
実際には生まれも育ちも異なる他所者同士で、価値観も制作スタイルも違った作家たちが
それぞれにひょんなことから集い、縁を結び、
人間として関われるかどうかという一点においてのみ繋がって、お店という形を成しています。
それは広義の「家」のような存在かもしれません。
ゆえに本展のように、地域もカラーも富に富んだバラエティが実現するのです。

インターネット周辺で紡がれ、より深く、より細かに関係が区分けされる現代において、
いわば後進的だし、合理性には乏しいように思われるそういったくれいの繋がり方は
むしろ今になってとても貴重で、とても大切なことのようにも思っています。

個人でものを作るという意味において「オリジナリティ」が最も重要視される中で、
「違うなあ」と思わざるをえない人々と、強制される理由もないままに、
切り分けるのではなくあえて関わり、おぼろげにでも何らかの共有できる解を編み出していくということ。
その努力。
そしてその面白さ。

作家として第一歩を踏み出したここで、そういう機会に恵まれたことに
今僕は感謝しています。


もの作りは結局のところコミュニケーション活動です。
自己が他者と交わる術として、太古より積まれた営為です。
そのことの困難と喜びを、体温と人間臭さのうちに味わわせてくれたのが
僕にとってのギャラリーくれいでした。


くれいがなくなってしまうのは時代の情勢からして致し方無いのかもしれませんが、
こういった雑多にして豊穣な繋がりの場はきっと未来にも必要だと思いますし、
わざわざ声高にならずとも、時が来ればそれこそ自然な形でまた立ち上がるものだと信じています。
今回の決断が、いつか起こりうるその新たな誕生の端緒となってくれたなら、
そう願って、ギャラリーくれいを一区切りさせていただきます。

長らくのご愛顧、本当にありがとうございました。



会期中、僕安達の在廊は
14(土)、15(日)、22(日)、12/5(土)

くれいについてもいろいろお話しできると嬉しいです。
よろしくお願いします。
by aji-kyuu | 2015-11-14 21:21 | 案内 | Comments(0)
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