何よりもまずあらためたい
横浜に移って、ひと月が経ちました。

年越しがあって、荷解きがあって、まずはここでの生活を組み立て直す様々があって、
まだひと月!というくらいに盛りだくさんだった日々。

懸念の工房は未だ整っておりませんが、本年最初の企画展への参加です。



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ごはん茶碗と漆のお椀展
2016年2月13日(土)〜2月21日(日)
11:00 – 19:00(最終日17:00終了) *2/17はお休み
knulpAA(東京都練馬区)

愛着あるうつわで食べる食事は美味しい。
食卓を楽しくする企画展第一弾。
まずは和食の基本となるごはん茶碗と漆のお椀をご紹介します。



毎年個展でお世話になっているknulpAAさんでの企画。
もともとは文具を含めた雑貨やインテリアに強みを持っていた店主さんですが、
ここ数年いろいろなご縁から、生の基本にある食や器に興味が向いてきていらっしゃるようで
毎回今昔の食器についてをとりとめなく話し合ったりしています。
満を持しての『食卓を楽しくする企画展第一弾』という今回。
工房移転のタイミングでしたので新作はありませんが、
飯碗担当の一人として定番を数点出品させていただきます。

僕自身、幾度かに分けた引っ越し作業の中で、最後に閉じ最初に開けたダンボールは衣服と食器のものでした。
場所が変われど、使い続けた器は体の一部のように離しがたく、使い直せばやはり心地良いもの。
逆に言えば、心機一転を狙って器を新調することは、引っ越しにも匹敵する変化を及ぼすのかもしれません。
とりわけ日本文化では属人器としての意味合いが根強い飯碗、汁椀。
我が暮らしを省みてみる意味でも、この展示会は良き機会になることと思います。

ぜひお出掛けください。


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# by aji-kyuu | 2016-02-02 17:46 | 案内 | Comments(0)
移転しました!
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新年、明けましておめでとうございます。


ご報告が少々遅くなってしまいましたが、
実は僕安達健は昨年末にやや無理を押したスケジュールで引っ越ししまして、
現在神奈川県は横浜市に暮らしております。

およそ8年に渡って、文字通り我が身を支え、育んでくれた岐阜県本巣市からの拠点移動です。

現段階ではまだ工房の住所が確定しておりませんので、
そのお知らせは改めてさせていただくとして、
今日は新年と新天地での再スタートに当たっての所感といいますか
ここひと月ほどつらつら感じ考えてきたことを、この機に記しておきます。



きっといつかはすることになるだろう
と幾分のんびり構えていた横浜への移転が、急展開してこのタイミングとなったのはおよそ一年前。
今回の主たる理由は家庭の事情によるところが大きいのですが
環境の転換それ自体は実のところ来るべくして来たというのが感触としてあるのも正直なところ。
潮目というと語弊もあるかもしれませんが、決めた当初から「今がその”よい”機会なのかもしれない」と思っていたのも事実。
断腸の思いで、とか、苦肉の選択で、ということは実感として一切ありませんでした。
それもついひと月くらい前までは。

岐阜から横浜というと実際距離にして400km近くあるわけですが
現代の都市間にしたら大したものでもないし
住む場所がどこであろうとも僕は変わらない、やることも変わらない、
とまあ、自負心ゆえか案外に気楽に構えていました。

けれど実際に引っ越しが迫るにつれ、離れがたい気持ちが日毎増していくのです。

挨拶で回る人たちからの言葉や表情、態度。
そういった表面から漏れる胸中。
そのいちいちにこちらの感情も引っ張られ、
そうこうしていると、その人であったりその場所であったりにかつての自分が移り残っているようにも思えてきて、
そのことが僕の心持ちをじわりじわり重くさせていくのです。

まったくネガティブな意識は持ち合わせていなかったし、
むしろ新たな挑戦ともなろう先には、か細いながらも明るい光を感じていたはずなのに
なんだろうこの心身の重さは。

我ながらそんな体に陥った自分に驚き、引っ越しの準備にも幾らか足踏みしてしまった数日がありました。

正直初めから深い縁のあった人や場は少なかったろうし、
たまたま、偶然そこに居合わせた、出くわした、言わばそんなくらいの関係だったはずなのに、
本人知らず知らずのうちに、根は伸び絡みしていたようで
その根は以外と太く深く茂っていたのです。
今回そのことの不思議と、尊さをまざまざと思い知らされました。


住んでいた家の片付けで出たあれやこれやの道具、生活ごみなどあまりに多量だったっため
やむを得ず庭先で数日間毎夜大きな焚火をして燃やしていたのですが、
幸いにもその幾晩は月がきれいで、番をしながら缶ビールをちびりちびりしていました。
空気は冬らしく冷たかったけれど、
側に寄ると手が届かない距離でも熱いくらいで、足しにしていた薪の香もいい肴になるし、
何より、盛んに燃える炎の揺らぎや時折はぜる音韻が心地良く、
その”やきもの”に魅入っているうちに、ぐるぐる複雑にこんがらがっていた心が解きほぐされていくようで
僕は火に本当に助けられたのでした。
今思えば、あの焚火は僕にとって必要だった儀式で、あれはまさに送り火だったのだと得心するのだけれど、
それを扱う業にありながら恥ずかしいことですが、火がことこれほどの力を有していることを僕は解っていませんでした。



そんなこんなで自分の見積もりの甘さも祟って、方々へご迷惑をお掛けすることとなり、
なおかつ多大に助力いただくことで、ようやっと移転が完了しました。


今現在はもっぱら荷解きや各所の片付け、環境作りに日々精を出していまして、
春にはこれまで通りの陶器作りを本格化させていく算段をしております。

岐阜や愛知で得た沢山の経験や繋がりを財産として、
それを基に、またこの地でも変わらぬ信念とスタンスでもって
作家としてはもとより、まず人として自在に柔軟に渡っていきたいと考えています。

ひとまずはこれまでをじっくり見直し、これからをどのようにも見据えることができる今の貴重な時間を存分に味わいつつ、
また時と共に一段一段積み上げてまいりたいと思っておりますので、
これからも引き続き良きお付き合いを、どうぞよろしくお願いいたします。


以上いつにも増して長くはなりましたが
年始のご挨拶と替えさせていただきます。

皆様にも幸多き一年をお祈りします。




* 引越しに伴い、メールアドレスを変更しています。以下よろしくお願いします。

ajikyuu⚫︎gmail.com (⚫︎は@に変えてお送りください。)
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# by aji-kyuu | 2016-01-10 00:26 | 考える | Comments(2)
最後を末永く
すでに始まってしまいましたが、遅ればせながらの大切な展示会のご案内です。


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ギャラリーくれい last exhibition
永く使えるカップ展

2015年11月14日(土) − 12月7日(月)
11時 − 17時

ギャラリーくれい(愛知県瀬戸市)

【出展】
安達健 阿部未来 一久堂 栂尾しづく (以上運営メンバー)
阿部恵里 上松香織 大澤奈津子 岡山富男 伊藤千穂 大森健司 加藤輝雄
河内啓 熊本充子 クロノユキコ 小林由依 柴田礼美 白石陽一 白木千華
城田渚 新道工房 鈴木ツギオ 鈴木はづ 高橋奈美 田村文宏 豊島Pさとこ 野口淳 野田里美
野村晃子 野村絵梨花 野村佳代 長谷川由香 一星(ガラス) 深谷仁美(ガラス)
堀江まや 前田薫(ガラス) 道川省三 望月万里 安江洋 羊歌窯 横田和憲 渡邊亜紗子
お菓子作家 dolcemente(a)



このブログでも幾度も展示会のご案内をしてきたかと思いますが、
僕安達が作家仲間と運営してきたギャラリーを、本年末を持って閉店することにいたしました。

皆で悩みに悩んだ末の決断。
その最後に相応しい、大きく、濃い内容の展示会を企画。本日より開催しています。

これまで30年余に及ぶギャラリーの運営に携わってきた方々。
これまで数々の企画にご協力してきてくださった方々。
全国あちこちの作家へお声掛けをして、総勢42組の展示が実現しました。


以下は、僕の中で大きな意味を成した場であった、ここでの最後の展示会に際して
会場でも掲示させていただいているテキストを引用させていただきます。

いつもながら長文ではありますが、お店へお越しいただく前にお読みいただけると幸いです。



ギャラリーくれいは僕にとってどんなところだったのか。

そもそもくれいの成り立ちが一般的なお店と大きく異なるのは確かなことです。
作家たちが自ら共同で立ち上げ、運営してきたギャラリーショップ。
例えば、所在するその土地に根差したお店だったり、
あるいはオーナーの一定の思想信条、価値観に裏打ちされたお店だったり、
たいていの場合、お店というところはそのいずれかに立脚するものです。
売り手と買い手の真ん中に建てられるものが「お店」とするなら、当然その間を取り持つ理解が必要で、
それにはおよそ2パターンあるのです。
ただし当のくれいは、そのいずれにも該当しないように思っています。

くれいはもちろん、瀬戸というやきものの町に在り、そこでやきものを売っています。
また、作家というある種独特の考え方で生きる人々によって長く運営されています。
その意味では2つともの要素を十分に含んではいるでしょう。
けれどくれいの本質は、それらを軸にしていません。

言うなればくれいは、人と人との関係に深々と拠っています。
実際には生まれも育ちも異なる他所者同士で、価値観も制作スタイルも違った作家たちが
それぞれにひょんなことから集い、縁を結び、
人間として関われるかどうかという一点においてのみ繋がって、お店という形を成しています。
それは広義の「家」のような存在かもしれません。
ゆえに本展のように、地域もカラーも富に富んだバラエティが実現するのです。

インターネット周辺で紡がれ、より深く、より細かに関係が区分けされる現代において、
いわば後進的だし、合理性には乏しいように思われるそういったくれいの繋がり方は
むしろ今になってとても貴重で、とても大切なことのようにも思っています。

個人でものを作るという意味において「オリジナリティ」が最も重要視される中で、
「違うなあ」と思わざるをえない人々と、強制される理由もないままに、
切り分けるのではなくあえて関わり、おぼろげにでも何らかの共有できる解を編み出していくということ。
その努力。
そしてその面白さ。

作家として第一歩を踏み出したここで、そういう機会に恵まれたことに
今僕は感謝しています。


もの作りは結局のところコミュニケーション活動です。
自己が他者と交わる術として、太古より積まれた営為です。
そのことの困難と喜びを、体温と人間臭さのうちに味わわせてくれたのが
僕にとってのギャラリーくれいでした。


くれいがなくなってしまうのは時代の情勢からして致し方無いのかもしれませんが、
こういった雑多にして豊穣な繋がりの場はきっと未来にも必要だと思いますし、
わざわざ声高にならずとも、時が来ればそれこそ自然な形でまた立ち上がるものだと信じています。
今回の決断が、いつか起こりうるその新たな誕生の端緒となってくれたなら、
そう願って、ギャラリーくれいを一区切りさせていただきます。

長らくのご愛顧、本当にありがとうございました。



会期中、僕安達の在廊は
14(土)、15(日)、22(日)、12/5(土)

くれいについてもいろいろお話しできると嬉しいです。
よろしくお願いします。
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# by aji-kyuu | 2015-11-14 21:21 | 案内 | Comments(0)
小さきうつわを
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四寸皿 展

2015年 11月6日(金)〜14日(土)
11:00~19:00 (最終日17時まで)
会期中無休
うつわParty(東京都目黒区駒場)

安達健、志村和晃、平厚志、長谷川奈津、古川桜、山野邊孝




最近は様々な展覧会で大きめの器が好まれます。
七寸から八寸といったところ。
卓の真ん中にどかっと容れたり、あれこれ盛り合わせたり。
その便利さや、彩る楽しさはよくよく分かっているつもりです。
ただ最近の僕はそれに反して、小さき器に目が向いています。

四から六寸の皿や鉢。
色々なものを少しずつ、だったり
銘々に盛り分けたり。
その食材に合った調理。
その料理に合った器。
あるいはその相手に合わせた盛り付け。
そんなどちらかと言えば古風で非効率的な考え方は、その実この国の風土に根ざしたいわゆる和食の文化だと思うのです。

先の個展でもそれを一つのテーマにしていました。

そこにきて、この企画への出展。
考えは深まります。


今回は皿に絞っているので、
取り皿、醤油皿、おつまみ皿に漬物皿etc...とのことですが
僕の他5名の力ある作家さんの四寸が集まりますので、
小さきうつわの意義や魅力を知る良いきっかけになるものと思います。

住宅地に溶け込む、けして敷居の高くないお店ですので
ぜひぜひ足をお運びください。


ちなみに画像中僕のうつわは左下。茶灰釉のもの。
よろしくお願いします。
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# by aji-kyuu | 2015-10-31 23:04 | 案内 | Comments(0)
座して居る
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フィールドミュージアムSA・NU・KI 2015
― 工芸とまち並みを巡る展覧会 ―


会期:2015年 11月6日(金)、7日(土)、8日(日)10:00~16:00
会場:引田のまち並み(讃州井筒屋敷・旧山田医院・笠屋邸・煙突広場・商店跡・旧松村医院・吉原邸・山本醤油)
オフィシャルHP


昨年初めて参加させていただいた、うどん県香川の風情あるまち並みを舞台にした同時多発形展覧イベント。
今年も呼んでいただけることになりました。

蔵、漆喰白壁、板塀、瓦屋根。人間のサイズに合わせた家並み、道幅、スケール。
そういったまち並みの美しさ、懐かしさ、新しさはもちろんのこと
このイベントは個々の展示のクオリティの高さが最大の魅力だと思う。

ネットや雑誌を主にしたメディアで取り上げられる物や人はどうしても同じようなところに限られてしまう昨今。
特にここ数年はその傾向がより顕著に、増幅スピードも恐ろしく上がっているように思われます。

ただ、物はそもそも変わらぬ日常の中で、当たり前ではあるけれど、人によってその人のペースで生まれていくもの。
その前提を再確認できて、なお「此処にも確かにあるんだ」という“当然”に嬉しくなる。
去年はそういった刺激の場となりました。

ものを作る人はもちろん、
今できているかはともかくとして、日常に美的な「よろこび」を投げ込みたい方は
ぜひお出掛けください。

今年は12会場20作家。
展示と合わせ、多くの会場で作品の販売もされます。

僕安達の展示場所は讃州井筒屋敷・離れ
今の自分にぴったりとも言うべき、正しいスケールのお座敷です。
多様なうつわにて座敷をしつらえる、そんなイメージでのぞみます。
もちろん3日とも会場に居りますので、よろしくお願いします。

「座辺身辺」。
最近友人に教えていただいた、今しっくりくる言葉です。


晩秋の讃岐ですから、食も本当に楽しみ。
昨年は牡蠣に鰤に。
朝はうどん。

この時期の旅行に最適な四国。
お待ちしています。
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# by aji-kyuu | 2015-10-27 19:42 | 案内 | Comments(0)