恒温動物の心臓が一拍にかける時間は、体重の4分の1乗に比例する
だそうだ。 いわゆる時計が示すところの「絶対時間」はひとまず置いておいて 心臓を時計に見立てると、心臓時計4拍半で肺がひと呼吸し、血液が体内を一巡りするのにかかるのは約84拍。 子供を宿してから産み落とすまでには2300万拍という。 そして、心臓が15億回打つと、死ぬ。 つまり、アイザック・ニュートンの発明した「時間」とは別に、僕ら動物はその個体の特性にそった「生体的な時間」の中を生きている。 以上は、生物学上のきちんと裏づけされた理論。 生物学者本川達雄さんの著書からの受け売り。 以前もこのブログで触れたことがあるような気がするけれど、 最近あらためて彼のエッセイを続けざまに読んでいる。 ナマコやウニなど棘皮動物の研究からサイズの生物学を専門としながら、 その理論をてこに現代社会を分析して、バッサリと斬り込んでいく評論がなかなか面白い。 例えば、前述の「心臓時計」の話でいくと ヒトの場合、死にいたるはずの心拍15億回は計算上せいぜい40歳。 それなのに現代人が平均80歳を越しているのはなぜかというと、 心臓、ひいては生体の力尽きる限界点を、技術やエネルギーを投じて先延ばししているから。 50歳以降は「人工生命」なのである。 など。(著者自身60を越えていながら。) ここからもっともっと突っ込んだ持論も展開していく。 この方、数年前からメディアにもよく露出するようになったらしい。 生物学を歌にしたり、語り口は易しく軽い割に一歩間違えば過激ととられかねない発言もしている。 とはいえ僕からすればどれも正論。 これまで僕がこの場で小出しにしてきた「裏打ちの十分にない」僕なりの考え方に、 学問的な見地から理論付けをしてもらうような、そんな感覚で読んでいた。 「こんな速度には着いていけない」とか 「そんな分業には従えない」とか 今においてはへそ曲がりとしかみなされない思いも、生物学上では抱いて当然ということ。 ワガママなのは、本当のところどっちだ? 僕に生物学の知識はないけれど、 やきもの屋、ものつくりの観点から、 僕の立場から、主張し続けようと思う。 ![]() 『世界平和はナマコとともに』 『おまけの人生』 本川達雄 著 阪急コミュニケーションズ 発
by aji-kyuu
| 2011-01-28 22:19
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Comments(2)
タイトルが好きです。私の大好きな一汁一菜のごちそうですね。
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