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包み込む一布に
こちら、いよいよ間もなく開催です。


包み込む一布に_b0156116_193087.jpgユノネホウボウ2013
−やきものとその周辺−

6/7(金)、8(土)、9(日)
全日10:00〜17:00
湯之根やきもの長屋(愛知県瀬戸市)

オフィシャルブログ





一昨年から、僕のもうひとつの根拠地、愛知県瀬戸市で
やきもの作家や料理家の友人と実行委員会を組織して企画している「ユノネホウボウ」が
今年3回目、「ユノネホウボウ2013」として開催されます。

引き続き実行委員会代表をさせていただいている僕ではありますが、
3回目ともなると、これまでと違った意識、所懐が生まれてくるものです。

昨年の開催時にはイベントを立ち上げた動機などを個人の立場から語らせていただきましたので、
またここでそれを改めてなぞることはいたしませんが、
今回はもう一つ突っ込んで
それを続ける意味について、やはり個人の立場でお話しさせていただきます。



ここ数年、陶器を作ることそれ以外、その周縁で、いろいろなことをやってきました。
ギャラリー運営、展示会企画、イベントオーガナイズ‥
“良き器を作る”ことはもちろん、“生計を立てる”こと
それらを充分にやり遂げている、という状態ではけしてないのにも拘わらず。

スーパーマンでもなんでもない自分ですので、そうして何足も草鞋を履くとなれば
あっちを立てればこっちが立たず、こっちを立てればあっちが立たず
と、そのどれもが見ようによれば中途半端ともとれる様に仕上がっていくわけで、
そのバラバラにも見てとれる歩みは、
これまた当然のこととして、僕を見守ってくださっている諸先輩、友人の不安を誘い、
「大丈夫?」「それは今すべきなのか?」とのご心配ご忠告を相当数いただいてきました。

その、掛けていただく心遣い自体には本当に有り難いと思いながらも、
「いやいや大丈夫ですよ。これでいいのです。」そう言い切って
半ばやんわりとしたその反意を含む助言一切を切り捨ててきたのかもしれません。

とはいえ内心では人並みに相応の葛藤があり、
その実、常にあらゆる“足らなさ”を引き摺り、
作家に限らず、みるみる充実を得ていく友人達に羨ましさすら感じることも
ないではありませんでした。


さならばなぜそうまでして?
好きだから、では人様に到底説明つかないし、
使命だ、として自分を納得させられるような気もさらさらしない。

滑り出させた手前
ご期待くださる方、応援してくださる方に応えたいというのも間違いなくあるけれど
何より一つにいえることは、
見て見ぬ振りをしたくない。
それに尽きるのかもしれない。


感じ思い、知り考える中で据えられていく諸問題に対して、
けして真理ではないけれど、なにがしかの解を提示でき得るとして、
それが誰かによって既に解かれているとしても、
あるいはそれがある程度の共有を済ませた一般解であろうとなかろうと、
社会という池に投げ入れる行為そのものは、無駄でなんかなくて、

また年齢なり経験なりといった相対的に捉え易いスケールを持ち出して
早かろう遅かろう、どうのというよりも
僕なら僕の、生き物としての絶対的固有な時間のうえで「今だ」と信じられることを大切にしたい、

そのごくごくシンプルかつ生理的ともいえそうな一念が支えになっているのです。


もちろん、続けることで心身疲弊したり、揉まれ磨耗していくような感覚に陥ることもあるでしょう。
あるいは惰性に呑まれないとも限りません。

そんな時
こと続けるに関していえば、
大いなる理想といったものよりか、こうしたミクロにして至極パーソナルな願いや欲求が一種よすがとなったりするもので
その位相においては、他が口を挟んだり手を出せるところではないように思うのです。


何かを為すということは、多分
皆が同時代性や価値観といったものの上でおよそ共有でき得る大いなる理想を下敷きにして、
個別固有の一糸一糸を編み上げていく作業で、
誰か一人が力任せに一本を縒り上げるのではなく、
むしろ縦に横に、時に斜めに、くんずほぐれつしながらも一枚を成すこと。

太い一本は強烈に締め上げることはできても、柔らかく包み込むことはできないですから。



広い空間、長い時間を抱えようというなら
一枚布でくるむ方がきっとずっと効果的なんじゃないか、と
ユノネホウボウにできることがあるとするならそれは、
そういうことなんじゃないか、と

僕、安達健はそんなこんなを、自身の内にこだまさせるように思い抱いて
3回目の開催を迎えます。




ベストな解が僕に無いのはもちろん、
残念ながらユノネホウボウにも、無いでしょう。
けれど少なくとも8名の実行委員が思いをぶつけ、知恵を絞り、注げる限りのエネルギーを注ぎ、
その他50余組の作家、料理家が持ち寄るそれぞれの解が編み上げられる場としてのユノネホウボウ2013は、
皆様を包み込むに足る一布になれるかどうかは誰にも分かりませんが、
ともあれ本当に得難い貴重な機会だと思っています。

ものだけでなく、もの作りの周辺、背景をも持ち込んでいただくイベントです。
じっくり、まっすぐ向き合ってくだされば、身も心も十二分に一杯になれる
そんな内容です。

ぜひぜひ、初夏の週末をユノネホウボウ2013でお過ごしください。
商店街を巻き込んだアートイベントギンザホウボウも同時開催です。


どうぞよろしくお願いいたします。



大変な長文、失礼しました。
イベントの具体的な内容など詳細は オフィシャルブログにゆずります。
出展者、飲食などチェックしてお出掛けくださいませ。
by aji-kyuu | 2013-05-29 21:30 | 案内 | Comments(0)
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