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食事の場の充実に捧ぐ
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安達健 陶器展

2020.9.19(sat) − 28(mon)
11:00 − 19:00
knulpAA (東京都練馬区)

○23(wed)休み
○最終日は16:00終了



朝は洗いかごの片付けから始まる。

夜のうちに水の切れた器を一つずつ手に取り
棚に収めていく。

まだ清く柔らかで、静かな時間。

仕舞われていく器たちの
たてる寝息を聞き、
残るぬくみに触れる。

また慌ただしい今日という一日が滑り出す、
その、ほんの少し前の典礼。



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長石釉 灰 高足五寸皿


ここに住み始めた頃、
裏山へと続く坂を上るたびに、道端に自生する特徴的な葉形を
ヨモギ?キク?ときに首傾げたままに摘んできて
庭のカエデのたもとに移植したものだった。

そんなヨモギはいつしか当たり前のようにその一角を埋めていて、
毎年妻がペーストにしてくれる。

息子のお昼寝の隙に白玉粉をそのペーストと練り合わせて、
湯に落として。
冷凍庫の底に眠る小豆を甘く煮て。

起きろー
おやつだ。



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淡緑灰釉 坩形 五寸


陽も長くなってきた。

無類の芋好き坊にスーパーでせがまれたサツマイモ。
煮ても、焼いても、揚げても、の万能だけれど
我が家の定番は蜂蜜とマスタードで和えたもの。

そういえばこれを作り始めたのはいつだったろう、
どうにも記憶があやしい。
粒マスタードなんて以前は常備すらしていなかったはず。
どこかで美味しい出会いがあったのだったか?

なにはともあれ、薄暮にハニーマスタード。
翳りに浮かぶ淡黄色。




ひと所に、時を合わせて集い、同じ料理をいただく。
家族であれ、友人であれ、食事を共にすることの意義は計り知れない。
合理に背くこと、道理から逸れることも、ままあり、
科学には踏み込め得ない深淵がありもする。

健康美容、美食、交流と懇親、はたまた需要と供給、
食事を成す様々な側面は、便宜上分離されがちだけれど
一面のみで存立することは本来不可能で、
それぞれは分かち難く絡み合うもの。

今、ここに到ってあえて食事の場の充実を提案することの本懐を
この展示にて受け止めていただけたら幸いです。


僕らは何によっても隔てられたり引き離されたりするものではないのだから。


●在廊日 9/19,20,26,27
●作家在廊日には会場内で盛り付けのデモンストレーションを予定しています。


どうぞよろしくお願いします。


by aji-kyuu | 2020-09-10 23:30 | 案内 | Comments(0)
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