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手と口と目で触る
こどものうつわ 展
2021.3.20(sat) 〜 27(sat)
11:00am 〜 6:00pm(最終日5:00pmまで) 会期中無休
PARTY(東京都駒場)

やきもの  安達健 石川覚子 伊藤菜穂子 大隈美佳 笠間しのぶ 萩原千春
木工  岸本真紀 里見裕子
漆  佐藤綾子

おうちで過ごす時間が増えたこのごろ。
ごはんの時間もおやつの時間も
より元気にたのしくしてくれる
こどものうつわをおとどけします!
どうぞおでかけくださいね。


先日もどんぶり展でお世話になった駒場東大前のPARTYさん。
このお店で毎年定番として開催されている「こどものうつわ展」。
女性の作家さんたちが、動物や乗り物などをモチーフに絵柄を遊ばせた可愛らしいうつわたちが並ぶ、人気企画。
そんな展示会にこどものうつわ、否、息子のうつわを三年間毎食考え続けてきた新米父ちゃんが志願しました。

だからと言って、絵筆を手にしたわけでもなければ、これを機にやさしい素材を選んだわけでもなく
いつも通り、原土を叩いて作った粗い土を用いて
灰や石をシンプルに使った釉を施し、
灯油の窯で40時間ほどじっくり焼きました。
なんら変わらない安達の器です。


離乳食に移行して程なく、
目の前の茶碗や小鉢をしげしげと眺め、撫で回した彼は、その肌合いの違いをことのほか面白がった。
気付けば小さな湯呑みを両の手で抱えて、さながら抹茶を飲み干すようにすすり、
その口元の欠けをあえて引き寄せては口に含んでいたっけ。

もちろん数々の器を倒し、落とし、投げ、割ってきた。
けれど不思議と怪我することはなかったし、
ある時期から割るのはむしろ父ちゃんの方で
今となっては食器棚から知らぬうちに抜き出して、振り返るとママゴトの道具にすらされている。
挙句、
店頭に並ぶ父の器を見るや「ああ、これはふつーのうつわだね」なんてのたまう今日この頃。

視覚が圧倒的優位のこの時代においても、子供は、子供の触覚はとっても鋭敏で、
世界の認知を、深め広げる可能性に大きく大きく影響するのだろう。
この仕事を始める以前は、その視覚に頼り切る映像のフィールドで活動しながら、視覚の限界と触覚の可能性に薄々気付いていたけれど
子供と過ごすようになって、それは確信に変わりつつあります。


そうした体感を、今こそ声に出して、ものに現して、幼子を抱える同志たちに伝えたい。
一人の親としての願いを、PARTYさんに聞き入れていただきました。

すくいやすいとか、持ち上げられるとか、こぼしにくいとか機能面は当然として備えていますが
質感や、まとう情緒などにもこれまで通りこだわっています。
それこそ向付の研究から導き出された形質を下敷きにしていますので、あえて言うなれば「こどもの和食器」でしょうか。


初日20(土)に在廊しますので、ぜひこどものうつわについて語らいましょう。
子育てについて語らいましょう。
父親としても、本気です。

どうぞよろしくお願いします。


手と口と目で触る_b0156116_16550751.jpeg

by aji-kyuu | 2021-03-09 16:53 | 案内 | Comments(0)
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