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水面にたゆたう
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安達 健 展
2021.3.27sat ー 4.4sun
open 10:00 close17:00
月曜定休

滔々 Kurashiki gallery and stay(岡山県倉敷市)

日々のお料理に寄り添いながら、穏やかに生活に馴染みゆく安達さんの器。
原土から作りだされる須恵器や石彫のような、
おもしろみのある作品をどうぞご覧ください。



瀬戸内の街は平らかだ。
神戸から倉敷にかけても、徳島、香川側の四国にも
かつて海の底だったことがうかがえる水平面に、家々が、商店が、田畑が広がっている。
振り仰げば、空も広い。

だからということもないのかもしれないが、
行き交う人々は、どこか穏やかに、のんびりして見える。

温暖という意味では、我が街横須賀も大変に緩やかな気候だけれど
土地は極端に急峻。
山谷の高低差はひどく、
崖に張り付くように建物が並ぶ。
地の人のことばは、浮かべる表情のわりに少しばかり強い。


初めての土地での展示会は、不安よりも期待、楽しみの方がずっと多い。

どんな場所なのだろう。
どんな人と出会えるのだろう。
そこで僕の器は、どう受け入れられるのだろう。

とりわけ食の道具ともなれば、各地の文化が否応なく映るので
ギャップもあれば、思い掛けない発見もまた、多々ある。
これがなんとも刺激的。

今般の社会状況にあって、この業界もオンラインでのやりとりが大きく育ち
間違いなく今後の柱となっていくと思われますが、
その、土地概念を無効化するシステムの前では、こうした文化を遣り取りするスリル、
ただ物を行き来させるだけに止まらないコミュニケーションする悦びは、どうしたって得難い。


僕は、食事そのものの愉しみでもあるそのコミュニケーションをこそ、この仕事の醍醐味と考えているので
こうして北に南に東に西に、うつわを持ち込み、それを介して人と向き合い、土地と向き合い
関係していきたい、そう思っています。


事あるごとに申しているように、ウィルスにそれを阻むことなどできようはずもありません。

安達の在廊は、27(土)と28(日)の二日間に限りますが、
どうぞよろしくお願いします。


今回の会場となる滔々さんは、美観地区の中ほど、一本入った辻にある宿とギャラリーを備えたスペース。
旧い町家を現代の感性でリノベーションしたお部屋は、美しくかつ寛げる間合いを持った空間で、
ギャラリー部分は大胆さと精密さをシンプルな仕上げにひそませた設えで、
まさに旧くて新しい倉敷のイメージを体現されています。

数組限定ではありますが、とてもおすすめできるお宿。
こちらもぜひに。


by aji-kyuu | 2021-03-19 14:35 | 案内 | Comments(0)
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