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まっすぐに
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安達健(陶)・佐川岳彦(竹) 展
2022年7月6日(水) 〜 11日(月)
12:00 〜 19:00 最終日17時まで
会期中無休
うつわshizen(東京都神宮前)





昨年、まだ雨の匂いすら遠い初夏5月に、初めてご一緒した竹工芸の作家佐川さん。
一年経て、今回再びところ同じくshizenさんにて、
まさかの梅雨明けを済ませた青空の下
二人展を企画していただきました。

前回展示の際にも述べたことですが、
竹素材への関心もあり、また佐川さんのお仕事自体への興味もあって
この際工房へ訪ねてみよう、
と5月末、栃木県大田原へ車を走らせました。

東京を縦断して、四時間程度。
関東平野が尽きる手前の、広い広い空。
新緑眩しい里の風景。
幹線道路から外れて、これから山へ分け入っていく、その入り口に
素竹庵は、鬱蒼とした木々を背負って在りました。

この辺りにかつていくつも建っていたであろう、いわゆる古民家を利用した工房は
庵と言うにぴったりな風情で
そのうちひと部屋、背の高い佐川さんなら伸ばせばおよそ手が届くほどこじんまりした作業場に
竹筒が無造作に転がり、ひごが並び、板壁に編み途上のカゴがかかり、
作業台と思しき分厚い木盤に、小ぶりなナタ。
全くもって想像通りの、簡素な空間。

竹を横にして切り揃え、縦にして割く作業も見せていただく。

しゃがみ込み、立ち上がり、両の手と刃物でキコキコトントン。
そこにはもちろん、細やかな力の具合や、道具や身体の使い方が隠されているのだろうけれど
特別な技や、高等な術はこれといって見て取れず
ひとえに外連味の無い、真っ直ぐな
およそ創作よりも作業と言うに相応しい、その身振り。

そうしてようやく調えられた素材としての竹ひごを
点と点を結び、積み重ねていくことの途方もない繰り返しでのみ、形を成す。
指先の小さなひと編みが、いつしか全体を立ち上げる。
何とも潔いもの作り。

「芸」という言葉にはあたわない、暮らしの中の「工」の営みが
そこにはありました。

まっすぐ、つつましく

「自分のやっていることなど‥」と謙遜される佐川さんのお人柄と相まって
竹という素材と、そこから作り出す行為の真なるすこやかさに
改めて尊敬の念を抱きつつ、南へ南へ引き返したのでした。


同列に並べることに、僕の器は耐え得るか。
そんなプレッシャーを感じつつも、でき得ることをするのみと
いつものように土を叩き、練り、焼きました。

また、前回は未完のままに終わった佐川さんとの共作土瓶も届くはずです。

在廊は安達が6(水)、9(土)の二日間。
佐川さんは6(水)のみです。

どうぞよろしくお願いします。


by aji-kyuu | 2022-07-01 14:04 | 案内 | Comments(0)
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