人気ブログランキング | 話題のタグを見る
<< ゆく年くる年 コーヒー >>
秋空の下、面と向き合う
秋空の下、面と向き合う_b0156116_22073754.jpg


第12回 堺クラフトフェア
灯しびとの集い

2022.11.12(土) / 13(日) 10時 - 16時
大仙公園催し広場


雨天決行・荒天中止
主催 : 灯しびとの集い実行委員会
後援 : 堺市ほか
公式HP



陶器の作家として、発表を始めた当初は
陶器市やクラフトフェアといった類のイベントに毎年多数出展し、
ついには自分自身で主催する側に回ったこともありましたが、
2015年辺りからほとんど参加することもなくなり、案外に好きだったお客としての来場も
ぱたりしなくなりました。

たまたま引っ越しやちょっとしたトラブルで出すタイミングを逸してきた、とも説明できなくはないものの
実際のところは出展しているその現場で受ける違和感が、どうにも誤魔化せなくなった、というのが本音でした。

もともとそういった野外でのイベントと、僕の作る器の相性はお世辞にも良いとは言えず、
年を追うごとに、いわゆるクラフトフェアが全盛に成れば成るほどに、いっそうそのミスマッチは広がるようであったのも一因。
けれどそれよりも、その「場」があまりに祭り化して、日常を発受信する場としてどうにも適切なテンションを保てない
そんな気がして、
逆に長蛇の列を形成して、それがまた人を呼んで、とか
集まる人らをさばくのに手一杯で、会話すらままならない、とか
そんな様子も端々で見るにつけ、
「ここは僕の居るべき場所ではない」と思ったものでした。


再開のきっかけは倉敷。
すでにイベント出展に意味を見出せなくなっていた中で
これまでご縁のなかった地の実行委員さんから推薦をいただき、
さすがにそれまでをも断る理由はなかったので、久方ぶりの出展を決意し、
コロナ禍の中断を挟んで、本年初夏の回にも出させていただきました。

思えばあの頃とお客様の層が変わったのか、単に時代が変わっただけなのか
テント下で受ける感触には違いがあって、当時の違和感よりはもっと異なる「ずれ」。
しかもそのずれに対して、僕自身取れる身振りがあるような気がしたものでした。
おそらくは何よりもまず歳をとった自分こそが変わったのだろう、と。
眼前にある捻れを正し、もつれをほどく。
そんな、あの場所での新しい役割が見えるようになった、のかもしれません。


正直、その場での売上を立てることにも
新たな販路や繋がりを得ることにも
さしたる熱情は湧きませんが、
今日まで全く知り得なかった人と人とが、およそ共通の意図を持って面と向き合うことができるという稀有な場所にて
至近に価値観を擦り合わせ、交換する。

そこにこそ、今僕の出展する意味が有る。

だからできる限り僕の、我が家の、日常を
遠く堺の秋の空の下で、お見せして、
そこに込もる、いち生活人としての些末な哲学やおぼろげな思想を感受いただきたいと思っています。


今お見せできる様々なシリーズの陶器を並べ、
近所の商店で手に入るお惣菜の類を、実際に我が家でやっているように盛り付けるデモンストレーションも予定しています。
同じ惣菜を同じ量感の盛りどころを持つ器に盛り換え、その違いを実感していただいたり、
盛り付けた様子を知りたい器があればそのリクエストに応えて盛り直してみたり、
会話だけではストンと落ちないところを掴んでいただけるような工夫ができれば、と考えています。


天気さえ良ければ‥空に願いつつ
大仙公園のテントの下で、お待ちしています。


by aji-kyuu | 2022-11-03 16:14 | 案内 | Comments(0)
<< ゆく年くる年 コーヒー >>