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記憶から記憶へ
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安達健
記憶媒体

2019/6/22 SAT - 6/30 SUN
12:00 - 18:00
会期中無休

Quwan (大阪市浪速区)



大阪で数年前に開かれたお店、Quwan
僕と同年代のご夫婦が営まれている「うつわや」です。

一昨年お会いした時から互いに共感し合える部分が多くあり、
また互いの活動や思考そのものに興味を抱きあい、幾らかのやりとりを重ねてきました。

そういった下地のうえで、この展示会を催します。


今回も先月の渋谷展と同じく「灰〆」というシリーズに絞った展示となります。

この灰〆、耐火度の高い陶土の表面を灰で焼き締めるというもの。
一見すると御影石のような特異な質感から、特殊なやきものと思われがちですが
僕の他の仕事と同様に、その工程は到ってシンプル。
土の性質を感じ、そこへ歩み寄るスタンスで造形を、焼成を選び取り、陶に結んでいく行為。
たまたまあの日出会った土が、灰〆になることを知っていた、それだけのこと。

ただその見慣れない印象ゆえ、多くの受け手の意識は表層にとどまりがちであったのも事実で、
それを避けたいがために極力簡素な、それでいて土の性を抑制しない造形を求めてきたのですが
Quwan三好さんは、始めからそのファサードを軽々と踏み越え、深みに潜って来てくださいました。

その先にこそ、本当の魅力がある、と。


以前にも述べましたが、正直灰〆に絞る展示はリスクも大きい。
誤解を生みやすいシリーズではあるのです。
この方々のお力をお借りできるのなら、との大阪灰〆初個展です。


せっかくですので、さらに長くなってしまいますが
店主達が編んでくださったイントロダクションがあるので、ここにも転載させていただきます。
自分以外の方が自身の言葉以外の言葉でもって自身を語ってくださるのは、
照れ臭いながらも、とても有難いこと。
以下是非ご一読ください。


脈々と受け継がれる記憶は
其の形を媒体とし在り続ける。
手の中、日々の生業、意識の先に。

安達健さんは1983年生まれ、武蔵野美術大学で映像メディアを専攻し同時期から陶芸を初めました。
懐石の器を研究し料理の盛りどころが意識された器は、料理が美しく見える食卓の器として定評があります。
そんな作品群の中に灰〆(はいしめ)と呼ばれる器があります。
灰〆はコンクリートや石のような外見であり、ただ存在することを是とするような佇まいの器です。
今展ではこの灰〆の器に焦点をあて彼の器の魅力に近づきます。

土を精製する中で様々な事象と出会うと語る安達さん。
それは土の中に紛れ込んだ草木や生き物、時には新たに芽吹こうとする種子であったりします。
一つ一つに意識を向け、土に記憶された情報を読み解く。
そうした膨大な情報、色形、性質はもちろん、癖や素材のエゴまでを抱え、違った形に映し変えようとする表現こそが
安達さんの器の魅力だと考えます。

灰〆の器には一般的には単体で使用しない陶土を使います。
癖のある土は熔けた釉薬を吸収し石の様な姿へ変容します。
灰〆は薄弱をよしとせず、実直でまっすぐ。私達が歩み寄る必要がある器なのかもしれません。
それは土が安達健を媒介し情報を具現化した形、多くの記憶を内包した確かな器の姿をしています。
食卓の器を含めすべての作品は同様のプロセスを経て形を与えられているはずです。
それが表層にまでより顕著に表れるのがこの灰〆なのです。

器という媒体に記憶された情報は私たちの感性を深く刺激してくれます。
安達健さんの器をぜひこの機会にご覧ください。



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安達在廊日 22(SAT), 23(SUN)




by aji-kyuu | 2019-06-12 07:25 | 案内 | Comments(0)