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もう見えてきました。
なんだかんだと、時は着々過ぎるわけで
新しい年の足音が聞こえてきました。


令和3年、2021年の上半期スケジュールが出ましたので
お知らせです。



積み上げてきた場所での新たな挑戦と
初めましても。


来年もまた充実した年になりそうです。

引き続きご注目のほど、よろしくお願いします。


# by aji-kyuu | 2020-11-29 22:56 | 案内 | Comments(0)
器便り
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基 向付展

2020年11月7日/14日/21日/28日
10時-16時
Oogi (福岡市中央区)

安達健・江口智己・片瀬和宏・新道工房・竹下努・中西申幸・松永真哉




ご存知、僕も立ち上げ当初から参加しているうつわ勉強会基(もとい)のメンバーの展示会。

なんと会場が九州は福岡。

ひょんなことから実現したこの企画。
実は店主井出さんとはなかなかに古くからの知り合いでして。(過去記事)
大阪の堺で営んでいたクラフトとカフェの名店にて、
僕自身デビュー間もない頃に個展をさせていただいたご縁。

それも調べると2012年だから、かれこれ10年になりますか。

曲折経て、井出さんは福岡で新たな展開を、
僕はというと、横須賀にて相も変わらない日々を、
互いに重ねてきたわけで
その歩みが今になってまた、こうして交差すること
本当に嬉しく、感慨ひとしお。

僕はどうなりましたか?
成長していますでしょうか?

今回に限っては、作った器が便りのひとつ。

そんな心持ちです。


九州は初展示になります。
向付という少々小難しく思われがちな陶器ばかりを少量ですが、
安達のエッセンスを多様な器形に存分に込めて、
日常にも平気で入れられる素朴さを大切に象っています。

また安達以外の作家陣も、実力ある方々。
見応えある展示会となるはずです。

お近くの皆様、どうぞよろしくお願いします。

# by aji-kyuu | 2020-11-04 23:26 | 案内 | Comments(0)
リアル

安達健(灰〆)× フクオカタカヤ(komorebi)
二人展


2020.10.22thu - 27tue
11:00 〜 20:00
Last Day - 17:00

うつわ謙心 (東京都渋谷)


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ここ数年、五月に開催させていただいているフクオカさんとの二人展。
今年も、困難な状況下にもかかわらず
店主の尽力で「WEB展」として実現していただきました。

ただ、いかなる工夫をしたとしてもやはりそこはうつわ展。
イロカタチにとどまらず、触感への意識を強くする食器文化を背景に
オンライン上の情報のみでは思うように伝わらないことも多く、
とりわけ僕の器などは一層の分かり難さも手伝って、正直申しまして厳しい結果でした。

そんな中、店主さんの「どうしても手に取って見ていただきたい」との計らいで
実店舗でのオフライン、あえて言うなら「リアルな」展示会を企画し直していただきました。


五月の情勢を思い返せば、大きく異なってきているとはいえ
未だ新型コロナ禍。
もしかするとこの先、終わることのないコロナ下を生きていくこととすれば、
生活様式はもちろんとして、こうした発信の様態も最適解を編み出していく必要があるわけで
まだまだ模索は続きます。

ともあれ作り手としては、
だからといって生活における良き器が変容するわけでもなく
作るもの、作るスタンスに大きな手入れはないのですから
展示会として、発信の場として
これまで同様、僕なりのチャレンジをさせていただきます。

この「灰〆」というシリーズ、その稀な質感から数年来
板、球、といった抽象性を伴うプリミティブな造形を意識して展開してきました。
そこで前回は少し飛躍させ
蓋ものという機能的な制約はありつつも、オブジェクト要素の強いものを、
そして今回はその対極に置けそうな、用途の見える器を中心に構成することにしました。

こうした社会状況下において自分が提案できるとするなら
それを特別なものごとの中には見つけ難く打ち難く、
むしろ日常の中に差し込む非日常、
当たり前を細やかながらに揺さぶる、これも一つのリアル。
そういうことなのだろうと、半年過ぎた今改めて予感しています。

また前回からトライしているフクオカさんとの共作、コラボも新作を出品予定。
「コラボレーション」というよりは、越前と横須賀
往復書簡のようなやり取りで仕上がってきています。


安達の在廊は22(木)、24(土)、25(日)の三日間。
土曜はフクオカさんも揃います。

よろしくお願いします。

# by aji-kyuu | 2020-10-15 07:30 | 案内 | Comments(0)
食事の場の充実に捧ぐ
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安達健 陶器展

2020.9.19(sat) − 28(mon)
11:00 − 19:00
knulpAA (東京都練馬区)

○23(wed)休み
○最終日は16:00終了



朝は洗いかごの片付けから始まる。

夜のうちに水の切れた器を一つずつ手に取り
棚に収めていく。

まだ清く柔らかで、静かな時間。

仕舞われていく器たちの
たてる寝息を聞き、
残るぬくみに触れる。

また慌ただしい今日という一日が滑り出す、
その、ほんの少し前の典礼。



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長石釉 灰 高足五寸皿


ここに住み始めた頃、
裏山へと続く坂を上るたびに、道端に自生する特徴的な葉形を
ヨモギ?キク?ときに首傾げたままに摘んできて
庭のカエデのたもとに移植したものだった。

そんなヨモギはいつしか当たり前のようにその一角を埋めていて、
毎年妻がペーストにしてくれる。

息子のお昼寝の隙に白玉粉をそのペーストと練り合わせて、
湯に落として。
冷凍庫の底に眠る小豆を甘く煮て。

起きろー
おやつだ。



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淡緑灰釉 坩形 五寸


陽も長くなってきた。

無類の芋好き坊にスーパーでせがまれたサツマイモ。
煮ても、焼いても、揚げても、の万能だけれど
我が家の定番は蜂蜜とマスタードで和えたもの。

そういえばこれを作り始めたのはいつだったろう、
どうにも記憶があやしい。
粒マスタードなんて以前は常備すらしていなかったはず。
どこかで美味しい出会いがあったのだったか?

なにはともあれ、薄暮にハニーマスタード。
翳りに浮かぶ淡黄色。




ひと所に、時を合わせて集い、同じ料理をいただく。
家族であれ、友人であれ、食事を共にすることの意義は計り知れない。
合理に背くこと、道理から逸れることも、ままあり、
科学には踏み込め得ない深淵がありもする。

健康美容、美食、交流と懇親、はたまた需要と供給、
食事を成す様々な側面は、便宜上分離されがちだけれど
一面のみで存立することは本来不可能で、
それぞれは分かち難く絡み合うもの。

今、ここに到ってあえて食事の場の充実を提案することの本懐を
この展示にて受け止めていただけたら幸いです。


僕らは何によっても隔てられたり引き離されたりするものではないのだから。


●在廊日 9/19,20,26,27
●作家在廊日には会場内で盛り付けのデモンストレーションを予定しています。


どうぞよろしくお願いします。


# by aji-kyuu | 2020-09-10 23:30 | 案内 | Comments(0)
大きな物語と、もっと大きな物語について
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安達健 個展
成りかたち


2020年7月18日(土)− 26日
12:00 − 18:00
会期中休みなし

Quwan (大阪市浪速区)



2020年も瞬く間に半分が過ぎました。
この期に及んでもなお、瞬く間に。

言わずもがな、この半年、社会状況にはそれはもう暗い暗い影が差しました。
新たに認知されたウィルスへの感染拡大が今もって収まりを見せず、
脅威を振り撒いています。

そんな現実を前に、誰しもが一度となく足をすくめ
自他を省みざるを得ない環境に閉ざされました。
否、現に追い込まれています。

幸か不幸か、社会的大義と膨大な時間を不意に手にした僕らは
そんな現代において掌中にあったインターネット環境により、
これまで以上に情報の広く深い海へ易々身を投じることとなり
結果、
ホームに居ながらにして、万人が
科学を、歴史を、社会を大きく物語るようになってきています。
一方で、
その物語の魔性に慄き、あるいは胡散臭いと忌み
個へと逃げ込み、小さな物語のみを紡ごうとする向きも加速しています。

かく言う僕も、これを機に始めたインスタグラム投稿は
そうした一様態と見られかねないと自覚します。

けれど実のところ僕の感触としては
個別具体的な一人の暮らし、生は
つまるところもっともっと大きな、遥かなる文脈に依っているのだと。

粘土の内から芽吹く名も知らぬ双葉の姿に、
芝目から跳び交う子バッタの夥しさに、
眼前をうねる風の中の夏の香に、
2歳児の口走る音の連なりに、

取るに足らないほどにかそけき物語にも、根を手繰れば
深遠なる意味が見出せるし、
切り分けたはずの事物すべては、逃れ得ない同一面上に語り尽くせる。

Think globally, act locally.
こんな標語も数年周期にお出ましになるけれど、
今此処でこのしごととくらしを重ねる僕の実感からすると
「Think and act biologically.」

激化を辿る大小あらゆる対立も、
太らされた欲望や、煽られた恐怖も、
スマフォよりずっと肌身にあった生きものとしての感性の前では
ほとんど無力化する、と気付く。

僕らはもう何十億年も前から、大きな大きな物語の中に漂っていて
あまりの大きさと揺られる心地良さから、そのことをとんと忘れてきた。

作り込まれてきた世界のほころびに際して、
その足裏から地続きの、長大かつシンプルな物語の力強さに励まされるように
生きものであることを感得する。

この数ヶ月、
そんな経験なかっただろうか、と。


だいぶ逸れたように思われるかもしれませんが、
本展「成りかたち」開催に当たって、
その「かたち」は単純な意味での形=シェイプではなくて、
「成り」、由縁までをも包含した様態についてを表していて、
そこをこそ見たい捉えたいと願う僕のスタンスが、作る陶器に現れている
という、Quwanお二人の視座の設定に、あらためて感謝しています。


暮らしのうちでもとりわけ食事は
その大きな大きな物語への最大の接点、プラグインで
お料理はもちろん、器などの道具や、食べる行為そのものに向き合っていくと
自然、ページは繰られ、読み出せるはずです。

日々の食事を見つめる。
そのことの意義を今、あらためて胸に。



長くなりましたが、最後にDMにて構成いただいたテキストを引用させてください。



ほの暗い灰は
ちいさな隙間を抜け
一筋の光で像を映す



安達健は1983年生まれ、武蔵野美術大学で映像を専攻し、同時期にサークル活動として陶芸と出会う。
今展は昨年Quwanにて催した安達健個展「記憶媒体」に続く形での開催となり、
代表的な作風をいくつかピックアップした展示である。

安達が持つ灰〆と呼ぶ製法に着眼した前展は、一つの素材に究竟する安達自身を媒体と位置付け、
素材に蓄積された情報を引き出そうとする姿勢にフォーカスしたものであった。
続く今展は「成りかたち」というタイトルの通り、形のルーツや形状そのものに視点を移した展示となる。
安土・桃山時代の懐石の器を基軸にした形や、須恵器になぞらえた形状などがあり、
それらを手に取ると違った素材から作り出されながらも一本の線上で繋がるような感覚を覚える。
いわゆる写しと呼ばれるものとは異なり、安達はその形状に至った所以に重きを置き、様々な解釈で器の形を展開していく。

成るという言葉には、物事が変化しより良いものに変化していくという語意がある。
安達健の表現する器は私たちの今の生活においてどのように成り、あらたな形へと拡がりをみせてくれるのか。
安達健の器と向き合い、想像力を掻き立てて頂けると喜ばしい限りである。



在廊は初日二日目の18、19日。

どうぞよろしくお願いします。


# by aji-kyuu | 2020-07-10 23:24 | 案内 | Comments(0)